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呼吸器疾患

case1:

子猫の漏斗胸 

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 保護子猫の呼吸がおかしいとのことで
来院されました。
レントゲン検査で先天的な胸骨の変位、
いわゆる漏斗胸が認められました。
集中治療室で一般状態を改善させたのち、
漏斗胸の整復術を行いました。
(純粋な呼吸器疾患ではありませんが、
関連疾患としてこちらに記載します) 

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 手術ではオーダーメイドで作成した

矯正具を心臓から数ミリの場所にある
胸骨に縫い合わせていきます。

現在では状態も改善し、
矯正具の抜去後も変位もなく
元気に過ごしています。 

case2:

短頭種気道症候群(外鼻孔狭窄症、軟口蓋過長症) 

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 生後4か月の子犬の呼吸に
異変を感じるとのことで来院されました。
診察では強い吸気時の
努力性呼吸などが認められました。
視診においては写真に示すように
外鼻孔の狭窄が観察されました。
短頭種といわれる犬種であることと、
症状および他の検査結果から
短頭種気道症候群と診断し、
外科的治療を行いました。 

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 麻酔下で軟口蓋といわれる
鼻と口を隔てる組織を確認したところ、
矢印で示すように異常に大きくなっている
ことが確認されました。
このため、外鼻孔拡張術並びに
軟口蓋部分切除も同時に行い、
空気の通り道を確保いたしました。 

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 術後は写真に示すように、

外鼻孔が拡張し、呼吸が楽に
行えるようになりました。
術前は吸気困難のために寝ることも
できませんでしたが、
しっかり眠れているようです。

短頭種気道症候群の手術は、
気管切開のリスクや術後管理が
難しいとされています。

また手術適期を逃すと、
喉頭虚脱といった他疾患を引き起こします。 

case 3 :

気管虚脱(ステントによる拡張術)

気管虚脱は空気の通り道である気管が
狭くなる病気で、進行することもあり
悪化すると命に係わる疾患です。
内科的治療にてコントロールを
目指しますが、重症例では
専門病院による気管外プロテアーゼを
用いた手術を提案いたします。
当院では適応を考慮したうえで、
気管内ステントによる虚脱の解除を
行うことが可能です。

レントゲン写真中央に認められる黒い管が
気管です。
吸気時には機関が観察されますが左の写真では管がつぶれてしまっています。
これが気管虚脱でこの患者さんは重度の気管股脱が認められました。
十分に呼吸することもできず生命の危機にあったことから飼い主様と相談の上で
気管内ステントを気管支鏡の補助のもとに
行いました。

気管内ステント留置後は
呼吸は楽になり、生命の危機は脱することができました。しかしながら
ステントの留置は合併症も伴うことから、
術後繊細な管理が必要となります。
現在は良好に経過しております。